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2016年度版
心身の発達に障がいがあり、特別な支援を必要とする児童・生徒の受け入れ一覧  
*只今、2017年度の状況について各日本人学校に調査アンケートをお送りしています。ご協力お願いいたします。

 
上記のリストはGroup Withが独自に調査・作成したもので、毎年更新しています。
ご協力頂いた各関係機関の皆様方に心より感謝申し上げます。

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発達障害児と家族を支える会inフランス(A.S.A.T.F.J.)
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    最終更新日 2017年9月           

インタビュー集

東京学芸大学の田村 毅先生にお話を伺いました。

2002年11月11日
東京学芸大学田村研究室にて

田村 毅氏プロフィール
 東京学芸大学 教育学部助教授(生活科学学科児童学研究室)
 非常勤:北の丸クリニック医師(小児・思春期精神科、家族療法)
 ホームページ:http://www.tamuratakeshi.jp/


<異文化体験と子どもの問題行動との関わりについて>
異文化体験が必ずしも不登校や引きこもりなどの問題の直接的な要因になるとは限らない。人は様々な体験をするが、異文化体験もその一つである。それにより心が豊かになることもあり、異文化体験が危険であるというネガティブな考え方をしない方が良い。相談の中に海外生活経験者からの事例はあるが、その原因が異文化体験にあるかどうかはわからない。

事例:小学校を海外で送り、帰国後不登校になる。帰国後1年半は問題なかった。父親は後から帰国。日本の生活習慣に戸惑っていると訴えていたが、それが直接の原因とは思われず、いろいろ話を聞くうちに、家庭にも問題を抱えていて、父母の関係が疎遠であることがわかった。夫婦仲が悪いことから母親がストレスを感じていて、それが影響したようだった。海外体験が家族の関係を悪化させたかどうかはわからない。結婚当初から問題はあったかもしれない。

海外体験は家族の在り方が試される時でもある。それを上手く乗り越えればその絆は深まる。家族関係に亀裂が生じている時、日本では何とか過ごしていても、海外生活をすることにより亀裂が大きくなることもある。

<海外生活と適応について>
英国で「サマリタンズ(http://mailgate.samaritans.org.uk/~cls/japanese.htm)」という電話相談をボランティアで受けていたが、相談者は多い順に、駐在員の妻、学生、国際結婚をした人達だった。また、82パーセントが女性からの相談だった。
海外で、メンタルヘルス上の問題を抱える理由の一つにサポートネットワークの不足がある。家族、友人、地域など、相談できる環境がなく孤立してしまう場合に問題が起こり易い。妻達、母親達の場合、夫のサポートが重要である。現地の人、日本人、またはインターネットでもよいから、心が安らげるサポートネットワークを持てれば、言葉のハンディーがあっても適応していける。

海外に行かなくてもあることだが、親が心の葛藤とかストレスを子どもに投影してしまうことがある。「子どもが問題だ」と言って、子どもの問題に置き換えてしまうが、実は親自身が何か違和感をもっている。聞いてみると子どもの問題は大したことはない。夫の協力がなく、周りのサポートもない場合、そうしたことが起こる。ストレスがある時、心の寄り所を子どもに持っていき、子どもに密着してしまうことが結果的に問題になる場合がある。しかし子どもが母親から注目されたことで、良い結果を生むこともある。

また、negative experience(否定的体験)を持つ人達も問題を抱えている場合が多い。特に留学生、国際結婚の妻達に多い。海外に行く動機が一見肯定的目的であるが、裏に日本にいたくないという要因がある場合(受験に失敗した。失恋したなど)である。リセット願望があるがそれが上手く行かないことや、新しい人間関係に躊躇してしまうことがある。赴任家族でもそうした場合はあるかもしれない。母親や子ども達の海外生活の目的は、当初は「肯定的目的」とは言えないが、嫌々行くか、そうでないかでは適応に差が出て来ることもある。

<海外邦人のメンタルヘルスについて>
パリの太田先生のように個人的な努力とか、ロンドンでの日本人医師会の援助等もあるが、散発的なものしかない。包括的なシステムがないのは問題だ。
海外では日本人医師が医療行為を行うには資格や免許が必要だが、カウンセラーを置くことは問題ないだろう。

スクールカウンセラーの設置など、国内でもやっと重い腰を上げたところなので、海外でのメンタルヘルスケアの整備はこれからだと思う。日本人学校や補習校へのスクールカウンセラーの設置については、文部省に働きかけるか、現地の日本人会などが理解を示してくれれば上手くいくのではないか。
 
<カウンセリングについて>
精神科を受診したり、カウンセリングを受けるということは、弁護士に相談することと似ている。相手がどんな人かわからないのに、心の中を見せるということに抵抗があると思うので、まったく知らない人には相談したくないだろう。情報開示があれば多少行き易くなるのではないか。

相談機関を探すチェックポイントとしては、カウンセラーや医者がどういう経験や資格を持つのか、また、希望に応じた治療を行っているかどうかを見るとよい。
心の問題の治療には「カウンセリングによる心理療法」と「薬物療法」がある。精神科の医者は薬物療法もできる。悩みを聞いて欲しいという気持ならカウンセリングだが、不眠などの辛い症状を早く取り除きたいということなら精神科での薬物治療も必要となる。

帰国後に問題が起こった場合、相談者が異文化体験が原因だと思っても、別の要因がある可能性が大きいので異文化に詳しいカウンセラーでなくても良いのではないか。また、相談分野に異文化適応が含まれる医師やカウンセラーは多くない。

カウンセリングを重ねている内に症状がきつくなるということもある。治療のプロセスの中で一時的に悪くなる。心の中に意識しない葛藤があり、そこに原因があることに本人が気付き、治っていく。その過程で触られたくない部分に触られる時期は辛く、苦痛になる。
(Group With  2002年インタビュー)
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