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-海外で暮らす家族と共に -

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2016年度版
心身の発達に障がいがあり、特別な支援を必要とする児童・生徒の受け入れ一覧  
*只今、2017年度の状況について各日本人学校に調査アンケートをお送りしています。ご協力お願いいたします。

 
上記のリストはGroup Withが独自に調査・作成したもので、毎年更新しています。
ご協力頂いた各関係機関の皆様方に心より感謝申し上げます。

お知らせ


発達障害児と家族を支える会inフランス(A.S.A.T.F.J.)
「でこぽんクラブ」

財団法人 海外邦人医療基金(JOMF)
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    最終更新日 2017年9月           

インタビュー集

目白大学の原 裕視 先生にお話を伺いました。
 *以下は原先生のお話をもとに、Group Withがまとめたものです(文責Group With)。


日時:11月15日 午後3時半から
場所:目白大学心理学研究科原研究室にて
 

原 裕視氏プロフィール:
目白大学人間社会学部心理カウンセリング学科 心理学研究科現代社会心理専攻教授
アクセス心理教育研究所代表


「スクールカウンセラー」
<スクールカウンセラー設置の経緯>
いじめ、不登校、暴力事件が増え、自殺者も出てきた頃から、スクールカウンセラーを配置するという案は検討されていたが、スクールカウンセラーに誰をあてるのかが決まらなかった。並行して心理学の分野では、臨床心理士という文科省の外郭の財団が認める資格を作り、5年ごとに資格更新が義務という厳しい条件と研修体制で10年ぐらいやってきていた。スクールカウンセラー配置の施策に臨床心理士を配属してみると、学校、子供たち、親たちもかなりの評価をするようになった。いじめが減り、不登校も減らないまでも伸びる率がダウンしてきた。そういう背景があって、2001年度から全国配置を5年間で行うということになった。
 
<スクールカウンセラーの現状>
以前はカウンセラーの数も少なく、経験者が学校に配属されたこともあって、学校の先生方に対しても説得力があった。その結果、カウンセラーというものが評価され、学校に配置されることが正式の施策になった。しかし、臨床心理士の数は充分とは言えず、しかも経験者は職を持っているため、それほど学校現場に出られないので、資格を取ったばかりの人が就かざるを得ないというのがこの2年余り現状である。そのようななかで東京都では来年度から全校に配置される。

週に一日とはいえ、カウンセラーや大学教員、精神科医など、ともかく教員以外の専門家が学校現場に入ったことは画期的なことだ。これから時間をかけて環境を整えていくことになる。

<スクールカウンセラーは全て臨床心理士が配属されるのか>
文科省の方針では、臨床心理士をはじめ精神科の医師、大学の心理学の先生となっているが、85%ぐらいが臨床心理士である。地方では臨床心理士が不足しているところもあるので、新人が配置される時は、「準」という形で、報酬も若干安くしている制度もある。東京都の教育委員会は最初から100%臨床心理士だけという方針である。東京には現在臨床心理士が1300から1400人いるので、配属可能だ。

<スクールカウンセラーの具体的な仕事内容>
「カウンセリングだけが仕事ではなく、必要とされた時に役に立たなければ仲間になれない」ということを今言っている。学校のニーズに合わせて動くというのが基本で、活動は行く先々で随分違う。個人的な面接、先生とのコンサルテーション、親とのコンサルテーションなど、色々なバリエーションがあり、配属された人によっても違う。臨床心理士の得意分野や力量と、受け入れ先の学校のニーズによって現実には動き方については配属されてみるまで分からない。若い経験の少ないカウンセラーにはなかなか大変な仕事といえる。

<海外の日本人学校や補習校のスクールカウンセラー設置について>
海外の現場の先生方からは派遣を望む声が出ている。文科省や海外子女教育振興財団などが海外を巡回する時、サイコロジストもそのメンバーに入れ、教育相談と共に心理相談をすることを提案している。国内の問題(いじめ、不登校など)が海外でも同じように起きている。国内同様、学校の中で専門家による心のケアが必要である。それについては、国にもよるが、現地のメンタルヘルスの専門家をボランティアで引き込む形でスタートするのがいいのではないか。そして必要な存在だということを認めてもらい、日本人会や日本の関係機関にそれを報告して予算を獲得していくのがいいのではないかと考える。

カウンセラーは学校の中に一人はいた方がいい。予防的なアプローチができるから。危機回避的に動けるので問題が大きくなる前に色々対処できる。先生方と一緒に行動することで、先生方の力もついてくる。そういう意味で内部にスクールカウンセラーが入ることの意味は大きい。ただ、学校内では病的な症状を長くみることはできないので、そういう場合には外部の専門家に紹介する。学校の中と外とのネットワークを作り問題解決にあたることが理想である。留学してそのまま現地に残っている人や日本で基礎的な勉強をしてから現地に住んでいる人をスクールカウンセラーとして考えてみてもいいのでは。
 
 
「メンタルヘルスのサポート状況」
<日本の場合>
子育て支援、子育てネットワークが全国で設立され、専門家以外の市民レベルの力量がアップしてきた。素人の当事者に専門家が指導するのは昔の形式で、今はそれぞれがチームとしてどう活躍できるのかと考え、専門家も生活者の一人として加わる(コミュニティーアプローチ)。また、専門家は、親や地域で活躍する人に一方的にノウハウを提示したり知識を与えて指示したりするものではない。専門家の持っているものが役立つならば使ってもらい、その結果を教えてもらって一緒に考えていくという姿勢をとる(コンサルテーション)。
 
<海外生活者へのサポート活動と現状>
異文化関係を専門とする心理職の関係者が、海外派遣教師の研修や財団での赴任家族への準備講座、全国の大学での新人の留学生担当者への講演を受け持っている。
これまで、赴任前の研修等では、現地での問題処理や生活面を中心に行われる傾向があったが、メンタルな部分や関係者同士の援助体制も、少しずつ取り上げる形に変化してきている。

生活情報や問題処理の情報は書籍やインターネットから得ることができるので、自分で情報を取捨選択し、取り入れればよい。子どもたちをどう育てるかについても、各家庭で選んで自分たちで決めていくこと。そのために、各自が力を蓄えて自分の判断で問題を解決していくという姿勢を持つことが必要となる。
アジア、南米、アフリカ、などの地域では、日本人のメンタルヘルス関係の専門家が少ない。そういった地域ではその分野の学問や職業が発展途上である。韓国でようやく日本と交流するようになった。経済発展の度合いによってそれぞれの国でどういう専門性が求められているのかが違う。技術系の専門性が最初に求められ、心の問題は最後の方にくる。途上国などでも、精神病以外でも様々なときに心のケアが必要だという認識が広がったのはつい最近のこと。
 
 
「現在の子育ての問題点と対策」
<現在の子育ての問題点>
日本では、あれはいけない、これはしてはいけないという否定的、制限的な対応が多かったが、褒めて育てるという方針をとることも増えてきた。親の育て方に問題があっても、これまでは幼稚園に入ってからの集団行動で初めて我慢することを教えられたが、最近は「自由保育」が誤解された場合に、バラバラに子どもたちを行動させる傾向が出てきたので、そこでも子どもたちは訓練されることが少なくなっている。
社会生活(幼児期、子ども時代、学校、社会)では必ず思い通りにならないことや満たされないことが起こる。その時に今まで親子もしくは周囲の人間と信頼関係を築けなかった子どもや人はどうなるのか。
・ パニックになってひっくり返る。
・ いきなり暴力、直接攻撃に出る。
・ 相手に直面することが出来なくて、傷つき自分の中に引きこもる。
<子育てのサポートネットワーク>
― 皆がよってたかって、出来る人が助けるシステム作り ―

問題行動を起こす子どもの親の育ち方をみると、彼ら自身が親から信頼のおける育てられ方や愛され方をされていない場合も多く、基本的な心の満足感が得られていない。自分が経験していない親子関係を、ひとりで自然に築くのには無理があるので、地域でトータルな育児システムを作り上げるしかない。現場で子どもと接する人たち(先生、児童館職員、看護士等)の子育てに関わる力量をつける必要もある。母親の教育が悪いから母親を再教育すればいいと簡単に片付けられる問題ではない。単に批判したり、子を親から引き離したりするのではなくて、皆が口を出して関わっていくシステムを作る。どんなに立派な人でも一人だけが子育てに関わっては偏るので、皆でバランスを取ることが必要。もし、質の低い子育てを数少ない人だけで行えば、大変な状況にも陥りやすい。

子育ては日本、海外どこにいても同じ。海外に住んだ場合、より多文化・国際交流の要因も入るが親子の接し方に差はない。

海外では要因が複雑になるが、逆に言うと選択肢が増えて,しっかり考えないと流されてしまう。レールに乗っていればいいという昔とは違い、最初から選択肢が見えやすくなっているので、それなりに選んで育てていくことが可能になっている。しかし、それを判断し、こなすだけの力が親に求められる。
<子どもの問題の重要性>
発達段階で丁寧に接しておかないと、問題は根深くなる。子どもが人間として完成する前に間違ったものをインプットしたり、ダメージを受けたりすると全てのできあがり方や基準がおかしくなる。したがって「悪い部分だけ直せば」良いと言うことにはならない。大人になってから起こす問題は、その部分を改めることである程度解決できるが。
<問題解決へのアプローチ>
今起こっている問題をまずは解決する。目の前の問題解決なくしてはその先へも後へも行けない。深い問題を解決する力やエネルギーが出ないだろう。現実の問題を解決しつつ、必要があれば親子関係にまでさかのぼって、根本からの解決を試みる方法をとることが多い。
 

「不登校児に対する国際間のアプローチの差」

海外(欧米)ではまず学校へ行かせて、校内のカウンセラーがその対応を決める。家で子どものエネルギーが充電されるのを待つという考えはあまりない。一度休むと学校へは行きづらくなるので、登校させた上で専門家の判断にゆだねる。また、そのためのサポートシステムが各地域で確立されている。

日本は過渡期。日本人は「学校へは行かなければならない」と思い込み、自分を追い詰めがちなので、この観念を壊すために「行きたくなければ行かなくてもいい」と言うようになった。その結果、サポートシステムも確立されていない中、子どもは家にいるだけで何の方針も示されず、何もしなくてもいいという方向に向ってしまうという現象も起きてしまった。
最近では、学校という枠以外にも、フリースクール、家庭訪問制度、チャータースクール(日本ではチャレンジスクール)、家庭教師中心など多様な学習形態を認めて、それらを学校と同じように扱うことが徐々に行われるようになってきてはいる。
子どもの問題行動は一人ひとり状況が異なるので、それらに対応できる力のある人の養成や各地への派遣を充実していかなければならない。

                                      (文責:GROUP WITH)

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