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心身の発達に障がいがあり、特別な支援を必要とする児童・生徒の受け入れ一覧  

 
上記のリストはGroup Withが独自に調査・作成したもので、毎年更新しています。
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発達障害児と家族を支える会inフランス(A.S.A.T.F.J.)
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    最終更新日 2017年11月           

インタビュー集

米国イリノイ州の現地校教師の中川優子先生にお話を伺いました。
海外に障害のある子どもを赴任帯同する時や現地で子どもに障害が見つかった時、十分な療育を受けられるかどうかは保護者にとって大変大きな問題です。北米の現地校で特別支援教師をしていらっしゃる中川優子先生に、イリノイ州第15学区における障害のある子どもへのサポートについてお話を伺いました。


場所:東京ウィメンズプラザ
取材:Group With

≪中川優子氏プロフィール≫ 
中川優子 Frank C. Whiteley  School 教師。ESL Bilingual teacher ( 第二外国語・バイリンガル教育教師)、 Bilingual Special Education Teacher ( バイリンガル特別教育教師)、 Early Childhood Special Education Teacher   (幼児教育(0歳―8歳)特別教育教師)、 Learning Disabilities/Behavior Disorder Special Education Teacher  (学習障害・行動障害特別教育教師)


 海外現地校における障害のある子どもへの教育サポートについて
―アメリカ合衆国イリノイ州第15学区の場合―

Q: 先生の配属されている小学校はイリノイ州の第15学区ですが、どのような地域なのでしょうか。そこでのお仕事について教えてください。

第15学区はイリノイ州でも2番目か3番目に大きい学校区(教育委員会)で小学校と中学校が20校あります。シカゴの郊外40分ぐらいの地域で日本人の駐在員家族が多く住んでいる所です。実際にはシカゴ市ではないのですが、シカゴの第15学区というように呼んでいます。

私は日本では特殊教育の教員をしていましたが、その分野の先進国である米国に留学し、現地で免許を取得しました。専門は学習障害、情緒障害、生まれてから8歳までの子どもの発達をみるのが主です。現在の学校区にはESL Bilingual teacherとして採用され6年になります。日本人の一番多い学校に配属されていますが、日本以外の国の生徒にも対応しています。(学区には言語に応じたESLとバイリンガルの教師が17,8人登録され、そのほとんどが第二外国語を話せるので、情報のやり取りや応援を頼むことが可能になっている)
 

Q 先生は発達・学習障害と英語の遅れ、両方の側面で子どもの問題をみることができるということですね。

アメリカ人の先生のほうが、外国人生徒の学習の躓きを発見することは早いです。専門性の高い先生が揃っていて、学年相当の学習能力を身につけさせて母国に帰国させることを考えているので、その時点で英語の問題なのか学習的な躓きなのか注意してみています。「これは英語だけの問題ではない」と判断された場合に(私に)連絡がきて学校区内を回るということになります。
 

Q: 最近の邦人児童・生徒の傾向は?

障害を持った子どもの転入が増えています。日本で査定が行われ障害を持っているという子どもの場合、事前に連絡があるので、こちらで何ができるのか詳しく伝えることもできますし、受け入れの対応も早くできます。また同時に最近は渡米してから問題が見つかる子どもも多くなっています。学習発達が固定してきた2、3年生、または中学に入る前に見つかることが多いです。英語の問題だけではないことを見極めなければならない為、1,2年間は様子をみるので、4年生、5年生、少なくても中学に入る前になんとかその子に合った教育サービスを与えることが大きな目標になってきます。

学習的障害以外に学校に適応できないとか、順応できない子どももいます。最近は行動に対して自己抑制・自己管理ができる子どもが少なくなっているように感じます。「何がよくて何がいけないか」の判断や「どうしていけないのかを考えて自分がしないようにする」「どの様な行動が期待されているのか考えて、それを行動に移す」ということの難しい低学年の子どもが増えています。

「これはいけないことだよね。」「こういうことをしてくれると先生、友達は嬉しいよね」「?ができるようになったね」と過程を踏んで指導していきますが、何回同じメッセージを出しても繰り返して悪い行動が出てしまうという子が増えています。アンガーマネージメント(自己の「怒り」の感情を上手に処理できるような能力)ができなかったり、どのような行動が周りにどういった影響を与えるのかを分かっていなかったりということです。
何が起こっているのかとアメリカ人の先生も不思議に思っています。そういった行動は日本人の低学年の子どもにも多いです。

例えば学校の廊下を人とぶつからないように歩くということができずブラブラ歩きをしていて人とぶつかり事故が起きてしまうとか、校庭で空手チョップをして遊んでいる日本人の子どもに「手は人と仲良くする為にあるんだよ」と教えてもそのメッセージが伝わっていかないとかということです。そういったことをアメリカ人の先生も危惧していて今私たちの学校区では問題視されていますね。最近の異文化を背負ってきている子どもたちの問題にはこうした行動面でのことが多いですね。
 

Q: 親は問題が生じた時に、「言語(現地語)が分からないからではないか」「文化の違いからくるものではないか」と考えてしまいます。現地校に通っている場合は障害との関わりを見つけるのが難しいのではないでしょうか。

第二外国語を話す子どもの障害の有無を見つけること、判定を下すことは大変難しいです。私たちは障害の有無を見極めることを主としており、児童・生徒の学習・社会・行動面を観察そして指導しているのではなく、その児童・生徒の持つ特徴「障害」―ニーズに見合った効率的、実践的な教育サービスが学校教育現場にたくさんあるので、それを子どもに渡したい、上手にそれを使って学校生活を乗り切ってもらいたい、学習においても成長していって欲しい、それを助けてあげるという立場です。

例えば「かきくけこ」が上手に言えない、「たちつてと」に聞こえてしまうというようなスピーチの障害に対しては、発音の矯正のプログラムやサービスがあるので、それを大いに利用してもらいたいのですが、その為には査定をして「この子にはこのような困難な所がある」「教育支援サービスを提供します」という手順を踏むことになります。「○○障害」というような名称がついてしまうことで日本人の親はたじろぎ、それを受け入れることができないことが多いです。でも「障害」と認定されることへの抵抗を捨てて、療育を受けた後の子どもの姿を考えてプログラムを受けて欲しいと思います。公立でそのようなサービスが無償で行われているのですからそれを存分に利用してくださいということなのです。

「英語ですからねぇ」という声がありますが、個別支援学習を日本の子ども向けに考えているので、その子にとって最適なプログラムを提供するよう努力しています。
 

Q:査定というのはどのようなものでしょうか

連邦法を基準とし、州法によって意訳され各州多少の異なりはありますが、イリノイ州の場合、州で認可されたスクールサイコロジストや精神発達医が査定をします。「知能テスト」「考えて物事を言うテスト」などをしますが、そのなかの例えば算数と作文の部分でテストをしなければならない時は学習障害の専門である私に査定の依頼がきます。査定結果に基づいてスクールサイコロジストや精神発達医が障害の有無の決定をします。
 

Q:言葉の遅れのある子どもは多いですか?

多いですね最近。順番待ちで入れないくらいです。(日本人のみではなく、学校全体の傾向)


Q: 日本語で言語の障害がある子が英語で療育プログラムを受けるということに不安を持つ親も多いのでは

言語療法を受ける場合、言語では1)「言語発達」?ことばの発達、2)「スピーチ」?発音・音の出し方 の2つの領域に分けて言語療法のサービスを提供します。 「スピーチ」?発音で問題のある子ども、例えば発音の音の、「かきくけこ」が「たちつてと」に聞こえるとか「だぢづでど」が「ばびぶべぼ」に聞こえるとか、日本でもたくさんいると思うのですが、こういった障害は療育介入が早ければ早いほど早期解決で治ります。私たちの言語プログラムに入ってもらったらいいのになぁと思います。自分の問題を自己認識し、常に気をつけるという自己啓発を重んじるので、自己意識が強ければ強いほど音に対して注意しますから改善は目に見えて分かります。自分の弱い音を気にして出すということができるようになりますから放っておくよりいいですね。私たちに任せて欲しいと思います。

「英語で療育を受けること」への不安ですが、言語発達を促すだけなので、それを英語で介入しているだけです。その切り替えが日本人の親は難しいようです。

例えば「3,4歳児の小さな子どもで、上に兄弟がいるが言葉数が少ない」というような場合、就学年齢に達すると、親は現地校にしようか日本人学校にしようか迷います。現地校では英語で教育しますが、その子に言葉が入っていくわけですから語彙を与えるというのは何語でもいいわけです。

ただ、海外にいることで努力しないといけないのはそれに係わる者(専門家)と親です。きちんと毎回(英語から日本語に)言い換えるだけの余裕が回りにいる者にあるのかどうかです。 
例えば、語彙の増加を目標としているなか、「今、身の回りにある食べ物を主に指導している」という教育プログラムが提供されているとしたら、家庭でも食べ物に関する言葉を日本語で聞いて、話す機会を豊かに作る環境が必要です。日本語で知っていれば英語になるのも早いですし、英語がある程度できていれば日本に帰ってもそれに値する日本語はかぶさってきますよね。どちらかだと思います。

基本となることを私たちが与えますので、英語でサービスを受けていることを親も理解して家でできるだけフォローすることが大切です。「水をください」というような二語文を習っている場合は家でも二語文で話す環境を作って欲しい。学校で指導されていること、目標とされていることが学校と家庭とで一致しているのであれば、子どもも迷わないし安心して言葉を使っていきます。伸びていきます。

親の側からみると、言語の発達がどのようなからくりになっているのかわからないし、日本人だから日本語を話して欲しいという気持ちもありますから、本当にここで(現地校に通わせてしまうことを)決断してしまっていいのだろうかという葛藤や不安があるのはよく理解できます。

療育プログラムといってもその子の持っている言語の弱いところが本当に育つのかということは難しいですね。英語で伸びていても日本語で伸びているのか。その子が持っている力が強ければ強いほどどちらの言語にも対応できますが、英語がなかなか習得できないのはその子の中に何かあると考えます。その子が日本語できちんとできているのでしたら英語も追いつくように発達していきます。

例えば、英語力について4年も5年もESLに通っているのになかなか卒業できないという子どもは、日本語でもそうです。英語が伸びないのではなく、その子の持っている言語が弱いのでどちらもダメになっている。日本語で会話もできるし書くこともできる。でも「作文はできない」とか「話しても詰まって最後まで話すことができない」ならそれは英語でもできないということです。
 

Q: 障害児をサポートするプログラムはいつ頃から始まるのですか?

法律で決まっていまして、0歳の段階から始まります。何かがあった場合は病院、学校区で診なくてはいけないということになっています。0歳から3歳までは医療に関わることが多いので、病院にある「子ども発達相談」という所で受けられるようになっています。義務教育(イリノイ州の場合幼稚部の年長から高等部まで)では、学校内で査定・療育が行われます。小学校に上がる前の子どもたちは幼児教育プログラムの一環で地域の学校区で査定を行い、必要な教育プログラムが提供されます。

子どもの「言葉」に関して何か懸念がある場合、就学前の子どもに関しては、地域の教育委員会に連絡を取り、学校に査定を受けに来ていただきます。事故などで脳に障害がある場合など明らかに言葉の障害以外の問題だとすぐにスクールサイコロジストの集合的な査定が入りますが、だいたいは言語療法士が診ます。言語に障害がある場合は家から一番近い学校に親が連れて行き、週2回(回数はその子どもによって違いますが)言語治療プログラムが組まれ療育が始まります。早め早めの治療です。
子どもによりますが、きれいに発音できない音があったとしても訓練と自己意識欲を高めることによって「明瞭に発音できている」となるとそのプログラムは終了・卒業となります。

今こちらの教育現場では、早期介入、事前に対策を練っていくという姿勢で児童・生徒を療育しています。

例えば「読めない」「行を抜かす」「音読がうまくできない」ということがあれば、そういった点を担任教師が毎日記録簿に書きとめていきます。そういったことが重なると担任教師が専門家に相談にいく。専門家からの指示に従い教材・指導を変えてみて経過を見たりしてそれでよくなれば査定にはいきません。担任教師が子どもたちの記録をとることがシステム化されています。音読などは一ヶ月に一度テストがあり時間などを計ったりする。その記録簿は簡素化、形式化し迅速に対応できるように作られ、一冊でその子どもの経過をみていくことができます。

障害のある児童・生徒は、幼稚部・小学部・中学部それぞれに上がるときは担任の先生、専門家、親が集まり、(記録簿などを基に)引渡しの話し合いが持たれます。事前に子どもたちにも学校見学をさせる。中学部から高校に進む時にも同じように専門の先生、学区の特別支援委員、中学校側の教師、専門家が集まり引渡しの話合いが持たれます。対応の素晴らしさに頭が下がる思いがします。


Q: 障害を持つ子どもの赴任帯同について日本から相談を受けることがありますか?

とても多いです。N.Y.とシカゴは特に、現地校と日本人学校のどちらにするか選択を迷うという相談が多いです。現地校に関しては、「障害があると分かっている子どもにはそれに見合った療育プログラムを与えられます」「どこの国の子どもであっても同じようなサービスを受けられます」ということを、日本人学校に関しては「日本語で教育が受けられますが教育的サービスは子どもに必要なものが揃っていないかもしれない」ことをお話します。両方を見学して自分の子どもには何が欲しいのか、そのプログラムがあるかないかよく調べ、親子で決めて欲しいとしか言えません。親が決断できる為の資料・情報は差し上げます。そこで決断できた親はしっかり子どもをサポートしていくと思います。決断するまでには資料や情報集めに何度も相談の電話を頂きます。よく「どちらの方がいいですか?」と聞かれます。誰かにすがりたいのは分かりますが、子どもはその家庭で育ちますから、冷たいとは思いますが最後は親が決めるしかないと思います。


Q:帰国後については?

帰国先の住所がわかったら、その地域の療育センターで私が知っている方たちがいたら連絡を取ります。帰国時には、こちらで受けた療育過程の資料を日本語に訳し、出来るだけ家族に渡しています。帰国後、(療育センターや学校の)職員の方たちが現地でどんな療育を受けたのか正確に分からないかもしれません。そこからは親の力量次第で、持ち帰った資料にある今までのプログラムの内容で「これだけは続けて欲しい」ということを「言葉の発達だけはやって欲しい」とか「ハサミを上手に使えるというような作業療法だけはやって欲しい」というように伝えて欲しいです。海外で受けていた十分な療育プログラムと同じようにはいかないと思いますが、「一つでもやって欲しい」と療育センターや学校側に言い続けてくださいと言っています。
海外から帰国した障害を持つ子どものお母様たちも地域の親の会で精力的に活動していいます。


Q: シカゴの日本人学校には障害児のクラスがありませんが、サポート団体などはありますか?

ないです。親の会も今はなくなってしまいました。意欲をもって活動していた方々が帰国してしまったので。

私たち専門家の方からいくら「こういうことができますよ」と相談所を作っても親のニーズと違っていることもあるので、そのへんが難しいところです。「このようなことが知りたい」「こういうことが欲しい」というお母様たちの必死な声があって初めて(困っている部分に)専門性が欲しいということになり、その部分で(私たちが)助けて上げられるということになるので、そういう問題意識を持って活動する保護者が増えてくれるといいと思います。そういった親同士でサポートしあってグループを立ち上げてくれば情報を上手に使うことも出来ると思います。


Q: アメリカの学校には不登校という定義はないとききますが、アメリカの学校でも学校に来られないということはあるのではないでしょうか

「ないです。」と言う表現をさせていただきます。学校に来ないということは絶対にないですね。と言うのは、早期介入を重んじているので、子どもの変化に気づく専門性を教育者が持ち、登校困難になる前に色々な介入、対策をその子どもに関わる者たちがチームを組んで取り組んでいくからです。

学校に関して言えば朝出席を取ります。連絡がなく休んでいるような児童・生徒には、学校側はどうして休んでいるのか把握・確認しなくてはいけません。担任教師が知るより前に事務室などの学校機関が把握していなければなりません。次に事務から生徒宅に電話を入れますが、親と連絡が取れない場合は、教師ではなく学校管理者(校長/教頭)が迎えに行く、或いは児童福祉センターに連絡を入れそこから回ってもらったり警察の人に行ってもらったりします。そのように学校に行かないという状況を出来る限り作りません。

アメリカでは車通学(ほとんどの児童・生徒がバス)なので、一般教師が車で迎えに行くことは安全性において許されていません。子どもを車に乗せて安全に学校まで連れてくるということは管理者の責任になります。そういった子どもに対する学校側の対処はとても明確で迅速です。
もし学校に行きたくないと子どもが言っているというような場合は、学校に不適応、異文化不適応の問題もありますので、カウンセリングが始まります。学校にいるカウンセラーを使いますが、言語の問題があるので、私も関与することが多いです。それと同時に親のカウンセリングも必要ならば始まっていきます。

日本であれば、そのような子どもに対して学級の中では特別なことはできませんというスタンスですが、2時間しか学校に来られない場合でも、学校内の専門家のもとで勉強しながらクラス担任との連携を取って子どもに学校でしなければいけないことを教えていく。「学校によく来たね」「あなたの気持ちはよく分かる」「カウンセリングの先生がいて困ったことは助けてくれる。でも学校という所はやらなければいけないことがあるのだから、それはやろうね」と諭していきます。

「子どもは学校に来なくてはいけないということを教えるべきである」「学校に来て楽しいという環境を作らなければならない」、それが学校側の責任だということです。何か問題が起きた時の日本とアメリカの対処の仕方の違いをこちらに来て痛感します。

日本でいえば伝手をたどって○○大学の診療内科の先生に診てもらうということになりますが、こちらではそういった専門家が学校にいるわけです。そのサポート体制の充実ぶりには頭が下がります。アメリカでは義務教育を受ける公立の学校でこそそういったサービスを無料で受けられるということが当たり前になっています。

日本の教育関係の方々がこちらのシステムを視察によく訪れます。報告書をインターネットなどで見ると詳細にわたって報告されており、日本の現場でどうそれが反映されているのか、私も調べていきたいと思っています。
 

Q: そのほか現地で暮らす日本人について最近気がついた点はあるでしょうか?

シカゴの場合、最近は若いご家族が赴任してくるということが多いです。初めて海外に出てくる方が多いのですが、子どもを日本人学校ではなく現地校に入れる親が増えています。アメリカに来たからには英語で教育を受けさせるほうがいいと考えているのかもしれませんが、子どものことを考えて教育現場の決定をしているのか疑問に思うこともあります。その弊害は子どもについては勿論のこと、親と教師の関わりの面に出てきています。子どものことではなく自分自身の問題を教師に相談したりする。また異文化理解というのは自国を知り、他国を理解することだと思うのですが、アメリカだからこうでしょう・こうできるという基準で行動する。子どもたちの行動にもそれは多分に影響が出ていると思います。
 
Q: 現地校と日本人学校のどちらに子どもを通わせるか親にとっては迷うところですが。海外で育つ子どもたちの教育について何が大切だと思われますか?
 
先ほど言いましたが、ある州では日本人学校とアメリカの現地校と親にとって、そして子どもにとって豊かな選択権があります。勿論現地校に通っていて、日本人学校に転校する。又はその逆の場合もあります。

現地校と日本人学校それぞれの大きな特徴は言語環境(英語―日本語)とその言葉を使っての学校内の環境・雰囲気(空気の流れ)にあると思います。その特徴を十二分に利用されると良いと思います。

例えば、現地校から日本人学校に移る家族の理由も色々とありますが、日本への帰国が何ヶ月も前に分かった家族などは円滑な移行環境を作るため、最後の何ヶ月のアメリカ生活の中、現地校から日本人学校に転校していくケースもあります。また、子どもさん自身が日本語環境の方がより効率よく学習できるという場合、日本人学校を選択します。中には、日本にいたとき、不登校気味だったが、環境をかえての効果を狙って現地校に決めるケースや、現地校(異文化の中で)でうまく適応できない子どもが日本人学校に転校することもあります。環境の変化という要因で問題が解決されることもあると思いますが、それはその問題が一時雲隠れしただけに過ぎないと思います。

ここで大切なことは、その子どもに関わる者たちが慎重に、問題の本髄を見極めることです。環境を変えても、その子どもが抱えている問題や弱い部分に取り組み、対処しない限り、その子が持っている根となる問題は解決されません。不登校気味だった。それは人と交わり関わりあうための社会性が十分でないのかも知れません。異文化の適応が難しい。この場合、社会性、又は言語の発達、自分を表現するための力がまだ十分でないのかも知れません。転校により、一時的に隠れた問題は、この子が違う環境に入ったときに出てくるかもしれません。社会に出たとき、結婚してから、親となってからなど。
今はグローバル、 インターナショナルな時代などと、メディア等で表現されています。そして、以前より多くの家族が海外で生活する時代となりました。海外生活で得る豊かな体験と共に多くの困難・問題もついてくると思います。

そこで、海外にいて赴任してくる日本人家族と教育現場を通して接する機会を得ている私が強く感じることは、子どもたちの基本となる力・能力・スキルを十二分に培い、それを実践できる力・機会を多く与えることだと思います。根のしっかり張ったプラントは、鉢の移し替えを幾度されても、どんどんと又更に根を落ち着かせ成長していくでしょう。それと同じように、その子自身の中に、どっしりと揺ぎ無い大きな基礎的な力が備わっていれば、いろいろな環境(文化、言葉など)の中で適応できると思います。そのような子どもを療育していけるよう私自身も専門性を磨き、時代の流れ、情報に敏感になりながら関わって行きたいと思っております。
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