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  最終更新日 2018年12月

 

       海外母子保健情報セミナーに参加して

 

2006年2月6日、ウィメンズプラザで行われた財団法人母子衛生研究会主催のセミナーに参加し、海外勤務健康管理センター研究情報部、横浜労災病院心療内科医師の津久井 要先生による講演「海外赴任?家族のメンタルヘルスケア」を拝聴した。
海外赴任家族のメンタルヘルスにおける「帯同する妻の立場の問題」に注目し、精神的にも健康な海外生活を送るために夫が、妻が、夫婦が、家族がどのような準備、考え方、話し合いをすべきかについてのお話が印象的だった。参加した海外赴任者のメンタル相談に応じている産業保健スタッフの方たちや私たちにとっても充実した時間となった。

講演内容
冒頭外務省の2004年度のデータを挙げて海外邦人の状況についての以下の説明・報告があった。
海外長期滞在者(3ヶ月以上の滞在で永住でない人)は65万人を超え、特に、アジアへの滞在者が増加している。海外邦人援護統計によると、在外公館が関わった事件事故の援護件数は増加し、海外邦人死亡者数(疾病、事故・災害、自殺、犯罪被害等)についてもアジアが増加している。これは医療環境が良くないことや、アジア特に中国への赴任者の年齢が高く、身体的リスクを負うことが多いことにもよる。そして自殺、同未遂のリスクも高くなっていることも注目すべきこと。精神障害者は20代がピークだが、企業は体の管理に重点を置きがちで若い年齢層の管理を見落としがちである。また、欧州は滞在者数に比べ精神障害者の比率が高い。疾病者は男性が多いのに対して、精神障害者は男女差がなく女性の中では帯同夫人が多い。
海外巡回健康相談においても、発展途上国へ帯同した主婦の相談ケースはメンタルなものが増えていることを指摘された。

【事例】
1.夜夫の帰りが遅くなると子どものことなどでストレスとなり、自分を傷つけたり、飲酒量が増え、将来子どもに虐待を与えないか不安である。(3ヶ月目)

2.理由もなくいらいらし、子どもや家族に文句をいい、家族から普通でないといわれ安定剤を飲んでみたが、専門医へ行った方が良いのではと感じている。(1年目)

3.自分の仕事と子どもを日本に残しての突然の同伴で、2度目の赴任だが今回は1人で空しく時を過ごすことが多い。何もしたくない、なじめない、中近東の粗暴さや言葉にもなじめない。(2年3ヶ月目)

4.抗うつ剤、安定剤を服用、日本の担当医とメールを続けたいが、状況を表現しにくい。(1年2ヶ月目)

5.現地の人との国際結婚でノイローゼ状態。(4年目)

対応する側の留意点としては、本人が語る部分も大切だが語られない部分や状況も要チェックであること、治療中の人は海外に出る時は継続が原則であること、メンタルな面は英語での説明が難しいこと、悩みの重要性を判断するには赴任後の期間との相関性が必要であること等をあげられた。
 
次に、「海外巡回健康相談で行ったメンタルヘルス調査」に基づき、専業主婦群とその他の群(勤務者)に分けて生活の分析をされた。
 ストレス事項について、一般(夫)は仕事や会社にあるが、海外赴任の主婦のストレス事項は環境の変化、対人関係、家庭内の問題が多い。ストレス対処行動も問題解決に向けての現実的対処行動より、気分転換などのポジティブなランチやスポーツなどの情動発散行動が多い。日常生活上の不都合を感じている度合いも57パーセントと多い。実質的サポーターは主婦にとって配偶者が82パーセントで夫の39パーセントとは格差があり、夫への依存が非常に高いことがわかる。情緒的サポーターについても主婦群は配偶者が62パーセントであるのに一般は配偶者、友人、上司、同僚などに分散している。こうしたデーターからも夫は他にもチャンネルがあるが妻は夫に頼らざるを得ない状況と言える。また海外赴任のモチベーションにおいても、専業主婦群はく赴任に際してモチベーションが消極的だったりどちらでもよかったというものが合わせて45%になる
 
このように、海外赴任生活が妻の心理状態にどのように影響しているのかというお話は、海外生活経験を持つ身には大変頷けるものであった。
次に、家庭精神医学からのポイントとして、海外赴任時には夫婦の役割り分担を「海外用モード」へ切り替える必要性があるというお話は最も興味深く、なるほどという思いであった。
 
夫婦間で環境の変化、家族の成長に応じて適宜に新たな関係を再構築することの必要性がある。これが役割りの「相互性」である。赴任して最初の1年できちんと相互的関係を構築できれば理想的ということだ。家事,教育の役割り分担を日本にいる時とは変えなければいけないし、夫婦の話し合いが重要になる。妻の立場が孤立しやすいことを考慮し、妻の海外滞在目的を積極的なものに設定し、能動的滞在に転換することが必要だ。 これらのことを念頭におくことができれば、かなりの問題は解決されるように思う。
また、ワシントン大学の調査による「肯定的なやり取りが否定的なやり取りの5倍以上あるカップルのほうがそれ以下のカップルより離婚率が低い」という報告には自らも反省する思いがした。5倍以上といかないまでも肯定的なやり取りを心がけて夫婦の会話をすることは、日本にいてももちろんのこと海外では特に必要になっていくだろうと感じた。精神分析においては、「夫婦の半透膜的境界を設定すべき」というお話も納得した。

その他小さい子どもを伴う海外赴任時のアドバイスとして

赴任前・・・赴任準備で大変な時、ためらわず誰かの応援を頼む。気分転換をしっかりと計る。完璧を期さず発想転換をする。情報を前任者から積極的に収集する。夫のサポートを活用する。子ども遊びをあらかじめ準備する。

赴任中・・・・友達仲間を作る。子ども自身の遊び相手を見つける。夫婦の役割り分担を変える。海外赴任へのモチベーション,好奇心を高める。自宅に引きこもらない。積極的に外出する。出産時など親へのサポートを依頼する。海外でも日本でも子育ての基本は同じという感覚を持つ。一人で育児をかかえすぎないで、現地保育園を利用したり、邦人の母親の協力を得るなど丁寧なアドバイスがあり、やはり海外では家庭の果たす相対的役割が極めて高く、夫婦間の話し合いが重要な要素となることが強調された。

また海外赴任者の子どものメンタルヘルスについて、
就学前・・環境=家庭であるという視点から、母親の心理状態、夫婦関係について検討してみる。
就学以降・・友人、受験のストレス、が関係するので子どものちょっとした変化にも注意を払い、些細なコミュニケーションが大切。 」
 子どもの場合不適応のサインとして身体症状で表すことがほとんどでこれを早い時期に見出すことが必要であることも重要なアドバイスであった。

一般海外赴任者のメンタルヘルスについても、不適応状態のサインは身体的不調にあることが多いということが述べられた。
 帰国が困難なほどの重症となることをさけるようにサインの段階で気をつけることが大切だ。チェックポイントは不眠、体調不良、能率の低下、おかしさを見過ごさないことである。疾病関連性が疑われる場合産業保健スタッフが関与、支援することになるので、海外赴任者のメンタルヘルスネットワークを構築しておく必要がある。医療経済的観点からも海外での入院は高額で治療も困難になることが多いため、赴任前の段階で危険因子の発見、さらに赴任中でも早期対処が必要。大半は急性のストレス反応、適応障害、軽症うつ病で帰国により軽快することが多いが、帰国後の最適応ものためにもサポートが必要。
 
講演後の質疑応答で「メンタル相談を日本語で応じる機関を知りたい」という質問があり、私たちGroup WIthが心の相談リストを作成、更新を続けている活動の意味を再認識することができ、嬉しい気持であった。今後もこのような講演を通じて勉強をしながら、ネットワークを広げていくことができればと考えている。 (阿部)                             
  
   ★(財)母子衛生研究会 海外出産&子育てインフォ
       http://www.mcfh.net/





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