インタビュー集

森野 百合子先生をお訪ねして 

2008年7月19日、都立梅ヶ丘病院に森野百合子先生をお訪ねしました。
森野先生は12年間に渡る英国滞在中、NHS( National Health Service )の医療機関に精神科専門医として勤務、日本人の診療にも当られました。今年の1月に帰国後、都立梅ヶ丘病院(東京都世田谷区)に勤務なさっています。英国での診療、帰国後の梅ヶ丘病院での診療についてのお話に続いて、帰国後の再適応について、帰国後未だ日の浅いご自身の体験も交えてのお話を伺いました。

「帰国して日本の変わりように驚きました。日本社会が置かれている厳しい状況に不安を感じています。英国も厳しいですが、社会制度に支えられています。日本では仕事を失った時の安全弁がありません。不景気で自分のことに精一杯で、他人のことまで考える余裕がないように見えます。

子どもたちにとっても、性格や海外滞在の期間にもよりますが、帰国しての再適応は大変です。たとえば日本は教室では座って皆と同じことをしますが、英国ではユニークさや個性が重視されます。海外の学校で信じていた価値観が崩れて新しい価値観での生活が始まるわけです。

海外でも日本でも、日常生活に支障が出てきたり、親子関係に問題が生じてきたりしたら、なるべく早い時期に専門医に相談して欲しいと思います。ちょっと心配という程度でも、その心配がストレスになるよりは軽い段階で受診した方が安心感を得られます。」

森野先生ご自身、長い英国生活の後で日本への再適応に少なからず戸惑いを感じていらっしゃるようですが、こういったご体験からも、帰国後の適応に悩む子ども達の良き理解者となられるのではないかと感じました。

毎年多くの子ども達が帰国します。月並みですが、焦らずゆっくりと、時間を掛けて日本に馴染んでいって欲しいと願っています。そのためには、家族や友人、学校、そして時には専門の相談機関やボランティアグループなどの力を借りることも必要ではないでしょうか。
  

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